私が海外ドラマにハマった時、Fire TV Stickを買った。
実はそれ以外にもうひとつの目的があった。
母がほとんど外出しなくなり、家で過ごす事が増えたからだ。
高齢者のリアル
20代の人が思い描く定年直後くらいの高齢者は、旅行したり、自由を満喫しているイメージだと思う。
しかし年齢が上がるとそうもいかず、何もないところでもつまづく。
杖を買ったが、
「バッグ持って杖ついたら両手がふさがる」と言って、ほとんど使わなかった。
認知症予防のため、家で楽しめる趣味はないか?
映画もドラマも定額見放題(一部有料だけど)のアマゾンプライムビデオで
「家を24時間映画館にする作戦」を考えた。
効果があるかは分からなかったが、老化防止のためにできることはなんでもやろう。
ファイヤーTVスティックを説明するのが難しすぎた
家のテレビに端末を取り付けることを決めた時、質問責めにあった。
自分で設定するわけではないけれど、気になるらしい。
デバイスとは?端末とは?
機械だよ。
この小さな四角い棒に映画が全部入ってるの?
四角いのは、Wi-Fiで映画のデータを受信する機械だよ。
ワイファイとは?
インターネットのことだよ。
電話機の近くに豆腐(AirMac)あるでしょ。
あれからインターネットの電波飛ばして、ファイヤーTVスティックが受信するのだ。(モデムをおべんとう箱という人もいる)
この黒い四角い機械を外したらアマゾン解約なの?
アマゾン解約したら、この四角い機械は返すの?
買うんだよ。返さなくていいんだよ。
私の説明力のなさが絶望的(; ;)
この説明で合ってんのかな?
ファイヤーTVスティックの操作は声
最初、映画をいくつかウォッチリストにいれておいたが、数日もすると自分で探していろいろ観るようになった。
リモコンに向かって声で検索する時、映画のタイトルが間違ってても、それっぽい映画が出てくる。
ひとつ作品を見たら「あなたにオススメ」というカテゴリに、似たような作品や同じ俳優が出ている作品が表示される。
高齢者は昔の映画を見せたら喜ぶのでは…と思っていたが間違いだった。
古臭い映画なんて見たくないよ!
映画館とか滅多に行かないのに、アマゾンプライムビデオを観るようになってから「イーサン・ホークはいいね」とか、いろんな俳優の名前を覚えていた。
Fire TV Stickは、アマゾンのセールの時に買うとお得です!
高齢者が映画をたくさん観た結果
高齢者が映画をたくさん観た結果どうなったかというと、
母がアマゾン化する。
いろんな映画をすすめてくるようになった。
さらにすごいのは、2時間分の映画を要約して、あらすじを全部教えてくれる。
私は説明が下手で、要約しても「意味わからん」と言われる。
母が語るあらすじは「うん、もう観なくても分かった」というくらい詳細だった。
夜中の映画鑑賞
眠れないとき、夜中によく映画を観ていた。
私はもう布団の中なのに、母一人で盛り上がって「これ観てよ。俳優の○○が出てるよ。」と私に話しかける。
寝てるのにわざわざ起こさなくていいよ。
母は「なんだ、寝てるのか」と呟いて、また映画に集中していた。
戦争物やアクション物が好きだったので「ドカーン!」という爆破音でビクッとして目が覚めた。
楽しんでるのに「うるさいからやめて」とは言いづらくて、私はそのまま横になっていた。
韓国の大河ドラマを流しっぱなしで寝てて、朝からチャン・ドンゴンに起こされたり、毎日面白かった。
ジャンル問わず、いろいろな映画やドラマをたくさん観た。
映画鑑賞とグリーフケア
当たり前のことだが、人の命は永遠ではない。
家族関係が良好な時もあれば、そうでない日もある。
具合が悪くて家族旅行には行けなかったが、家でくつろぎながら映画を観たことも大事な思い出の一つだ。
一人で映画を観る時も、一緒に観た日々を思い出す。
隣に座って、画面のほうを向いている姿が目に浮かぶ。
忙しい毎日でも時間を割いて、また家で映画を観よう。
映画鑑賞は、老化防止のためだけではなく、残された者の孤独、やるせなさから気をそらすツールになるかもしれない。
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